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本のことを書いてあるブログ

谷崎潤一郎「刺青」を読みました/教育して叱ってくれの話

谷崎潤一郎「刺青」(漫画版にて)読みました。
こちらは、かなり前にダウンロードしたものの読んでいなかったもの…
谷崎潤一郎痴人の愛を途中で断念して以来二冊目です。

漫画かいというのはとりあえず置いておいて…、物語は、周囲からも最高の刺青彫り師と呼ばれている男が至上の入れ墨を求めるお話。最上の入れ墨を完成させるためには普通の相手だと満足がいかないという主人公は、体つきそれから人間性も自ずとそれにこならされるような相手を探し続けています。ついに見つけたのはまだうら若い未婚の少女。主人公はその相手に入れ墨を施すのですが、それ以降は事件が起こるというよりも主人公の願望、精神世界のような描かれ方になっています。
痴人の愛でも見られたような、なんというかマゾ、被虐的な愛情を作者は女性に対して持つのだろうか?無知なわたしは(これって、好みが別れるんだろうな〜)って思って読んでいました。入れ墨を掘ることはおそらく、その少女に対する支配、あるいは愛だと思うのですが、それを掘られた側は少女という皮を剥いで男を食い、逆に支配するような女として生まれ変わってゆきます。入れ墨、傷痕を目に見える場所に付けられることは少女時代に別れを告げるようなことでもあるのでしょうか。男も女が自分の施した入れ墨を乗り越え離れてゆくのを惜しみながら間接的にそうなることを望んでいたのである。なんていうかそういった傷痕=自己に対する険悪、憎悪=人を喰らい、満たされることがなくなるみたいなイメージなのかもしれない。

なんとなく、中村文則さんのその先の道へ消えるを思い出しました。SMプレイ、支配と被支配は思うに、マゾとサディストという上下関係があるようにも見えますがその内実は両者の中で支配、被支配は常に入れ替わっているものみたいです。マゾは支配されているように見えますが本当のマゾはサディストを支配している(欲望を満たすためにコントロールしている)ような関係もありそうで互いはお互いに自分の欲求を満たしてくれる相手とバランスよく居る=プレイなんだなあってわたしは思ってます。
…というような偉そうなことを書きながらWikipediaを見てみたら内容がどぎつ過ぎて見ていられませんでした。奥深い内容については語れそうにない…

谷崎潤一郎について気になったのでwikiで調べてみたのですが、神童と言われるほど成績優秀で東大にも進学しています。

谷崎潤一郎 - Wikipedia


https://ja.m.wikipedia.org/wiki/耽美主義

初期は耽美主義の一派とされ、過剰なほどの女性愛やマゾヒズムなどのスキャンダラスな文脈で語られることが少なくないが、その作風や題材、文体・表現は生涯にわたって様々に変遷した。

耽美主義というそうです。
こうやって分類されているとやっと落ち着きます。ジャンルとしてあるんですね。


教育して叱ってくれの話

SMプレイの構造に関連して思い出したことですが…権力が支配すると被支配の関係、家族とその一員の関係でもそれを担っている側が必ずそれを行使し、それが行われないと罰を与えるという構造になっています。何かこの罰を与えられる、それから怒られるというのは明文化はされない構造そのものであって、その閉ざされた社会というものの存在であって、そこにいる人達にはある意味で安定を与えるのだなと感じています。支配→被支配、そうすることで被支配層を画一化します。子どもの場合、そうした方が右向け右がやりやすい。いま小学校などではいろいろ変わってきているみたいで、そうだった時代から、共に考えさせ、自ら発言させる授業に移行していってるのが見受けられます。わたしたちの時代ではずっとそうだった「こたえがひとつ」「答えは先生が持っている」それに導いていく過程ではなく「皆で話し、考えた総合値」のようなイメージがあります。

椎名林檎群青日和でも「教育して叱ってくれ」っていうのがありますがあれをこの構造が見えたり見えなかったりする事あるごとにわたしは思い出します。教育されなさすぎても「じゃあどうすりゃいいのよ?」となるし、結果に対する解釈、位置付けって必ず必要だと思います。そうでなくてもなんでそういう過程になった?というのを共有したりとか…
互いが構造を理解してないために起こる苦悩、機能不全状態、「教育して叱ってくれ」はわがままではなく、特にうまくは機能していないぞっていう、口ばっかりで実際は他人事な部分をなじるようなイメージで感じてます。
男女、家族、職場、いろんなところである状態だと思います。


Wikipediaを読んでいたら「卍」が気になりましたがもうこの際、読書部屋が欲しい。隔離されて読みたいです。

随筆の方

小説の方がなかなか趣味が強くて読み解くのが難しかったため、有名な随筆の陰翳礼讃を読んでみようと思い、探してみたらありました!Kindleで無料ダウンロードできました。ちなみに青空文庫の方にはなかった。青空文庫、便利なのですが結構飛ばされているものも多いですね。

これから読もうと思います。普通の高校生の授業のような道を辿ってます。文学について把握できるようになるの、一体いつ?

陰翳礼讃

陰翳礼讃