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本のことを書いてあるブログ

俳句ー季語サングラス

心隠しおほせて淋しサングラス/西村和子

 

 

別なひとみてゐる彼のサングラス/黛まどか

 

 

校門を出て校長のサングラス/小林呼溪

 

 

 

 

(増補版 いちばん分かりやすい俳句歳時記より)

 

季語「サングラス」ですがなかなかこういった個性のある季語は織り込むのが難しいと思います。先ず「サングラスをかける」というだけで日常の中でも一癖ある人が演出されます。一方で、たとえば、「水中花」もそういう意味では同じような季語かもしれませんが、こちらはあくまで人が作り出した自然物であるのに対してサングラスには人間の意思というものがかなり含まれているようです。初句に置いても、下句に置いても「サングラス」はかなり目立ちます。たとえば下句に何も考えずに置くと「体言止めーっ」という感じがすると思います。

 

(例)仲良しのあの子はいつもサングラス

 

こういった意味が大きいものをそれほど目立たせずに配置し、句または歌というものが持ち合わせている、許容する世界観を考えながら、語句の流れなんかも考えて作ります。

 

 

 

サングラス上がれば窓が五十二個

 

 

そんな感じで詠んでみました。

日々そんないろいろな迷いの中で作っています。俳句、短歌は人の作ったものに触れるのも大切な文芸です。