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本のことを書いてあるブログ

旅のラゴス(筒井康隆)/武士道(新渡戸稲造)

旅のラゴス筒井康隆

 

筒井康隆さんの小説は「エディプスの恋人」に続いて二作目ですが、読み終えました。前回もSFの世界観を感じながら読んでいましたがこちらも、SFの要素が盛りだくさんでした。村上陽一郎さんによるあとがきで、「ここで描かれる人物たちが行動の根拠としているのは、(略)極めて普遍的かつ常識的な価値観であり、常識的な合理性である。」とありましたが、わたしも主人公の性格にハードボイルドを感じつつ読んでいました。

このブログを開設したのは5月、読書を意識してするようになったのもその頃から(なので読書に対してほぼ初心者といえる)なのですが、作者によって深掘りしたい部分が違うのだなあと思います。こちらの主人公は、行動、経験、対人の性格をすぐさま読み当て吟味するのですが、その中にあるシビアさというか、割り切った後付かず離れずでいる感覚は人間的に成熟してからとか男性ならではの解釈なのかなぁとも思ったりしました。そういえばエディプスの恋人にもそういったところはありました。シンプルな人間描写と、文章がテンポよく進んでいく感覚です。

「人間描写」って大事な部分ですよね。もう本を読む時はそれがすべてだといっても良い気がする。わたしは東野圭吾さんの文章が好きなのですが、ガリレオシリーズから読んだのでその頃はクール&ハードボイルドみたいなイメージだったのがエッセイほかわりと砕けた感じの本を読むと印象が大分変わって、ああ、そうか本人は結構言いたいことがあるんだな…そうだよな。と思った。

「文章」って不思議である。顔のついた人格、声を聴くとまた印象が変わるけど、もう知った後ではその辺のイメージは切っても切り離せなくなる。

けどえっ、「文」と「リアル」ではこんなに変わるんだ!というのは割とお楽しみポイントだったりしますね。自分的には文章では多彩に飛んで豊潤に描きまくるのにリアルでは一言も触れないし喋らないの方がなんていうかわくわくします。

 

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

 

武士道/新渡戸稲造

 

お馴染みの、漫画で読破シリーズ(イースト・プレス)です。これはなかなか味のある、途中ジョジョ登場かと思われるカットなんかもありましたが、分かりやすかったです。

途中、新渡戸稲造、ちょっと武士道のことばっかり考え過ぎじゃない?!と一瞬思わさる。多分新渡戸稲造がナビゲーターとして画面外までいっぱい出てくるテイストで描かれているからだと思う。論述形式の著作としてはどうしてもそういう形にならざるを得ないのでしょう(読んだことは無いけど…)。

 

 

武士道 ─まんがで読破─

武士道 ─まんがで読破─

 

 

 

いま、まんがで読破でゴーリキーの「どん底」を読んでいるのですが、序盤から破茶滅茶でどことなく進撃の巨人の世界観が…。今から読むのが楽しみです。