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本のことを書いてあるブログ

本読みました日記

まんがで読破シリーズ〜人間的な、あまりに人間的な/ニーチェ

 

読みました。善悪の概念を解体し、神を作り出す。自分の周りにある他者の用意した規定を取り除いてこそ新しい未来が開ける、ような話でドストエフスキーの神の考え方に繋がる部分もあったように思います。

読書メーターの感想を見てみたところ原著の方はもっと難しく、こういったストーリーはないよう。漫画オリジナルのストーリーだったようです。この漫画、何かに似てる…何かに…と思いながら読んでいたのですが半分くらい来たあたりで「進撃の巨人に似てる」と気がつきました。絵が似ています。

けっこう個性的なテイストの多い「まんがで読破」シリーズですがこれは癖がなくて読みやすかった。ドグラマグラ楳図かずお感が前面にある漫画でした(それはそれでよかったけれど…)

 

漫画では、主人公が音楽という才能を持っているのに関わらず、周りの人間との関係性(病んだ母親、それを世話する、実際は主人公の気を引きたい女性)から自分の真の欲求にブレーキをかけて諦めを抱いてしまい、遂にはそのしがらみから母親の病が悪化して死んでしまう、それにより絶望感を強く抱きうまくいき始めた夢を諦めかけるという内容。

そして教会を訪れた神父に悩みを話すところから以後、すべて父に扮した(?)ニーチェの語りになります。

ニーチェの理論は奴隷制や農民と領主などの隷属関係を基盤としているのでしょうか。以前、「キリスト教というのはルサンチマンの思想だ。何故ならば虐げられているものを救う理屈で作られている」というのを聞いたことがありますが何かそれを思い出しました。うーん、わたしは支配層の正当化が垣間見えるようでなんとなく全ては受け取れないと感じてしまいました。

例えば善悪というのが持つもの、持たざるものがいて、持たざる者→持つものに安全と庇護を得る代わりに自由を受け渡しているという前提。これによって一見秩序ある世界を作り上げたようでいて、持たざる者は生きるもののことわりとして自分勝手に不満を溜め込み、自ら自由を放棄しているのに関わらず持つものの足を引っ張りたがるのである…という部分はあまり想像力がなく個人的に感じてきた感情が根本にあるように見えます。そもそも隷属関係は人間が生まれるたびにイーブンであるわけではなく常に先に強いたもの、それに従っているだけで出られる道がないもので、解体せよと言っているわりに自分自身が前提を解体できてないですよね…

人間が生き生きと生きるためにはそういったあたりまえの規範を取り払って自然界の摂理に従って己の欲求、真理に従うべきなのである、というような感じでしたが、ちょっと早読みしてしまったためずれていたらすみません。

 

他人の感想を読む

 

ところで読書し終わったあとなにか書き出す前にまず他の人の感想を見る、というのはなかなか良いかもしれません。今使っているのは読者メーターというアプリですが、Amazonレビューを「ふらっと本屋に立ち寄ったお客さん」とすると、こちらは「読書家たちのあつまり」という感じ。「なるほど!ぜんぜん気がつかなかった!」みたいな発見があります。

 

 

ドグラマグラ夢野久作

 

一度原著の方で挫折して、unlimitedで読めたのでダウンロード。

先ほども書いた通り、楳図かずおテイストの漫画でした。かなり癖がある。大正時代と書かれていますがその雰囲気が出ています。何か内容の濃いミステリー本とかって、指で表紙を触っただけてそこから毒が体に染みこんでくるみたいな感じがあると思います。たしか、チャンネルはそのまま!の佐々木倫子先生も同じことを言っていた。

 

内容は精神医学についてのお話。まだ精神医学というのがあまり発達していない時代の話だったようです。独特なのが「精神というものも遺伝する」という部分。子どもというのは母親の胎内で魚の稚魚から人間の形に進化するまでの太古の道のりを一度復習させられる。その中で、他の命が捨て去った精神の遺伝子をも引き継いでいる…とかちょっとあやふやなんですが、その過程を医学博士である人が証明するためにある過去のある家族を現代にまで繰り返すかどうか実験台に見立てるという筋です。漫画だからかもしれないですが「ふーん、そんなふうになるかな?」と思った。遠藤周作の「闇の呼ぶ声」はも同じように、ひとつの絵を見ることで催眠状態になった男性が次々と失踪する、もしくは死亡するという話だったのですがこちらは時代のせいもあるのか医学的なことがもう少し詳しく書かれていて、ドグラマグラの方は少しファンタジーな感じだったかなあと感じた。主人公がはじめ誰なのか明かされていないところから始まり、何か幽霊屋敷にあるような不穏なものに触れて記憶を引き出そうとしていく…という、ホラーのようなテイスト、おどろおどろしい世界観をかいま見るのには面白いのだと思います。

 

ーあとにひかえているまんがで読破シリーズー

 

◯破戒

◯分析心理学・自我と無意識

◯般若心経

 

 

自分でダウンロードしておいてなんだけど、読みづらそう。

 

 

俳句とはどんなものか/高浜虚子

 

54パーセントまで行きました(Kindle)。今は切れ字のあたりです。

俳句について…という本を読むと大体、五七五の切れ方だとか何か文法的なことから始まって初心者からするとそこでつまずくという感じがあるのですが高浜虚子、語りがうまいです。話は自己の体験からまず始まり、まだ興味を抱く前から自分が俳句と思ったもの、そうではないものを実際の体験と句をあげて説明してあります。その後本来の俳句というものの持つ「深み」に触れた部分、それ以後俳句というものを規定する条件が箇条書きで書かれてあります。(昨日ブログにも書きました)うーん。なんて明瞭な語り口。

常々文章というのは硬派なほうがよいと思っているわたしですが、高浜虚子はめっ、、、ちゃ硬派ですね。その上叙情に対してはひとつの名詞にも深々と潜りこみ緻密に解き明かしてくれており、高浜虚子がかなり熟練した俳人だったことがうかがえます。

高浜虚子は元は文学を学ぶ道筋として俳句を得た、と書かれていたところも共感しやすいところだと思います。

 

 

今日はもう寝る時間のため、まとまらないままですが終わりです。