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本のことを書いてあるブログ

印象派を追い出した人が本当はずっとすごかった

こんにちは。最近は漫画で読破シリーズを沢山読んだのでまとめようかなとも思ったりしていたんですが、そうこうしてるうちに体調を崩してしまってとりあえずの保留状態…
読んだのは
戦争論クラウゼヴィッツ
或阿呆の一生芥川龍之介
方法序説デカルト
クリスマス・キャロルディケンズ
四谷怪談鶴屋南北
などなど。
結構硬めのが多かったのでじつはよく分かってないのも多いと思いますが

四谷怪談は恐ろしい話ですね。よく聞く、お岩さんが出てくるあたりなどは一部分であって、これほど多くの因縁が絡まり合っている話だったとは知りませんでした。「末代まで祟る」的な話は日本的な感じがして最後は悲しい結末もありつつきちんと解決するのが良かったです。他の話も読んでみたくなりました。



それからジャン・レオン・ジェロームが気になってこちらを見ていました。

アンリ・ルソーの本を読んでいて知りましたがジャン・レオン・ジェロームなどは印象派を否定しサロン入選を拒んだ人の一人だったそうなんですね。わたしはこれまでずううっと、印象派特集っていう方面から絵画を見てきたんですが、その後でジャン・レオン・ジェロームの絵を見てみるとそれは、多分新しいものを否定したくなるだろうなというくらいものすごい絵を描くかたなんですね…まずそれに驚きました。何か見ているうち印象派イコールサロンの古臭い風習や伝統を否定するべく作り上げたあたらしい流派のようにかんじて居ましたが、ジェロームの絵はヨーロッパ内部のものに止まらずイスラムや肌の色の違う人たちの絵も多く、文化史的な迫力があるんです。それで、なんていうか見ていて「おもしろい」と感じる絵が多いんですよね。ちょっとした絵を並べてみてもそれがおもしろいと感じる切り取りかたをして居る…て、やはり人を見る目が違うのか、ひとつひとつが新しいものに見えます。それから、なんの知識もなしにですが見ていると、印象派の特徴としてある光や、自然情景、神話に囚われない描きかた、あたらしい性や女性の風俗についてもきちんとそこにあるものに見えるため、だからえ…?一体「どうちがうの??」と思いつつ見ていました。
時代の流れってこんなふうに名前をつけた時点から流派が分たれて後から見る方も、情報がなければそっかこっちが否定するから古臭くて、それがいやだから新しいものをまったくなんのベースもないとこから作り上げたんだな、すごいなあと思ってしまいますが、それは本当は分断されたわけではなく、多くの流れの中に確かにお互いが存在していて、お互いがお互いに影響を受けたり反発しあったりして来たものだったんだなと何か思いました。
この絵画集もジェロームのものに限っているのではないのですが構図や絵の細部までの緻密さを見ているとほとんど写真みたいに見えるので確かにそこから見てみると例えばモネの日の出という絵が一時批判されたとしても仕方がないのかなと思えて来ます。わたしはマネ、モネあたりはあまり好きではないのですが、ゴッホなんかもどちらかというとアンリ・ルソーの自由さがある感じがしますね。アンリ・ルソーはジャン・レオン・ジェロームとは似ても似つかない絵柄をしていますが、細部の植物の光や色合いの入れ方はそこに通じるものがありそうな気がします。自分は、そこに神聖を感じていたのだ、というのが多分彼等にとってあるんだと思います。遠くから見てみればそれは同じような流れを受けているようにも見えて、面白いなと思いました。

本当に自分はこれまで購入してきた冊子などからそれ以前のものイコール古臭いものと思い込まされていたので今回いろんな絵を見て驚き通しでいました。
それから自分はルソーの描く植物の絵がお気に入り…この絵画集をunlimitedで見た後で買って、(三百円でした)スクショで撮った写真を眺めたりなどしております。
ルソーは緑を描く時に何種類もの緑色でかき分けていたそうですが、何か植物もある意味で生き物みたいに書いて居ますね。女の人がいる風景もちょっとエロティック…?エロティックかつ自然がぼんとあり、ああ裸ってこう言うものなんだなって何か見ていて思います。それは綺麗っていうよりも「ある」んです。果実や獣みたいなものと同じように、不穏な森や闇なかにおいても、やっぱり母なる…的な形に浮かんできてしまうものとしてあるんだなと思いました。これがルソーの精神なんだろうなと思います。
やっぱり絵を見てて、綺麗だなとか面白いなというのもありますが、なんか自分のほうに簡単に飛び込んでくる Xの波動みたいな存在ってあるんだろうなって思います。たとえばムンクとかは人となりとして聞いていて興味深いですが、自分のとこには届いてこないとこが何故かしらあったりとか、逆にもっとかしこまっててもその絵が訴えてくるところが好きに見えたり…などなどそういうのがあったりなかったり…自分という目を通しているせいでこれは自分勝手な解釈になりますが、そんなふうに見ているだけで面白い絵画の話でした。


ジェローム作「純潔」


アンリ・ルソー