風光りすなはちもののみな光る
湖(うみ)といふ大きな耳に閑古鳥/二句とも鷹羽狩行
じゃんけんで負けて蛍に生まれたの/池田澄子
7人がハイライトを引いていました。私もほかの本でも見かけたけれど、記憶に残っています。
魚籠の中しづかになりぬ月見草/今井聖
茶の花に押しつけてあるオートバイ/飯島晴子
樹に後姿のありて晩夏の木/永田耕一郎
抜き書きしていて思ったのですが、俳句のような短く韻律のある詩形は、ぱっぱっと流し読みするのでなくひとつひとつ立ち止まって読んだほうが良さそうです。
にぎやかな妻子の初湯覗きけり/小島健
「妻」という字にあたたかみを感じてしまうのは、詠んでいるひとがひとつの感情を込めていることによるのかも。恋人とも家庭とも違うなにか、拠り所にも似たもの。うらやましい。
春の灯や女はもたぬのどぼとけ/日野草城