容疑者Xの献身/東野圭吾
東野圭吾さん、すごいですね。本も沢山出されていて東野圭吾の棚を見にいけば「ズラーッ!」という感じで書店には並んでいますが、こんなに面白いとは知らなかった。
感想は沢山あるのですがとりあえずまとめを。
寝る時間を押しつつ、容疑者Xの献身(東野圭吾)読み終わりました。ミステリーでもあるし、けれどこれは草薙刑事と湯川教授が居て初めて成立した、数学的な複雑さを秘めた人間ドラマでもあるかのような。最後はああ、こうなるのか…という重みとともに読み終えました。 #読了
— enpitsu_ko (@enpitsuko) 2019年6月13日
何か大分前、他の人のミステリを読んだときはあまりぴんと来て居なかったんだけど、東野圭吾さんの書くものって随所にものすごい血が通ってますね。
— enpitsu_ko (@enpitsuko) 2019年6月13日
(以下ネタバレ含む)
心理上のやりとり、ことこまかな表情などの記述がこまかくて、作られた物語の感じでなく実際の感触まで伝わってくるような「自供」「操作」のシーンだった。トリックを作る際に重視されたのが親子が警察からの取り調べに対して嘘で取り繕うような不自然な状況を避け「本当のこと、自ら話す」よう組み立てられたというのがすごかった。リアリティがある。話もその「親子は嘘を言っていない」という部分に当てられ進んでいて、それを最後に崩されるという仕掛けで、まんまと騙される。もしかすると東野さんもミステリを読んだりして「こんなにうまいこと、素人なのに嘘なんてつけるの?」って思ったことがあるのかもしれない。そういう着眼点から、犯人が重視する部分を決めて→膨らませていく、、、というふうにトリックは作っていくのかなあと思った。何かそういうところに作者の世界を、より本物のように構築するための哲学が潜んでいる感じがした。読んでいてどうしても、人間として、「これは、暴かなければいけないことなの?」と思ってしまう。犯罪というのはもしかするとそんなふうにグレーなものも存在していて、それを法の立場は暴いていかなければならない。けど、何故だろうと思わさる。家庭内のことだったり、親子のことだったり、他人が言い切れる正解は果たして常にあるのだろうか。…けど登場人物までそんなふうに優柔不断になってしまうと進まないので、さまざまな性格と信念を持たせてやって進ませていくのだと思うけど、湯川教授と草薙刑事の性格の違い、キャラクター、お互いの信念がぶつかり合うところが、生々しく、そしてドラマティックである。その部分がもう心地よくて、だからこのシリーズがこんなに人気があるのだろうなーと思った。人と人が違うことでこんなに世界が動くのである。
自分の好みでしかないけど人間同士の確執、ドロドロ、足引っ張り合いしている感じのドラマを「へーッ」みたいな感じに流し読んでしまうためこの不器用ながらも譲れない部分を持つ人らの生き方を見せていくというテイストが面白かった。
随所に世界に対する作者なりの肯定感のようなものがありますよね。
そういう本、好きなんですよね。根本的に時代劇が好きなのかもしれない。
クリエイトのこと
この間デザインあの途方も無い取り組み見てる時に感じたんだけど、「クリエイトする」ことというのは時には無価値と言ってしまえるような物事なのかもしれない。そこで放送していたのは、洋服に編み込まれているヒョウ柄模様をひとつひとつ、シール状に剥がせるように見立てて剥がしていくような映像を作る、というものなんだけどあの教育テレビ特有のぼーっと見てるだけで何万枚も静止画を並べた中どんどん形変わっていく粘土見ているみたいな「へーっ、すごいけど、これどういうモチベーションでやるんだろう??」系のやつだった。それを、やっている人は楽しいし、純粋に「びっくりさせたろう」というのがあるかもしれないけど、例えばものすごい忙しいサラリーマンがあのデザインあの模様百個くらいバラバラに解くみたいの見せられても「何の意味があるんだ!!」とはなると思う。たぶん母はわたしがそんなことをやっていたら心配するだろうと思う。すごくせっかちな人なので。しかしそう考えてみると、価値はない。意味はない。びっくりさせたいだけが一部の人にだけ届く…たしかにこんなのわざわざやったの?!というの込みで、それはちょっとだけ面白かった。
で、そうやってクリエイトは、世界のぐしゃぐしゃになっているしこりのようなものを、そっと解いて、ちょっとだけ世界のなりたちを分かりやすく、明るくしてくれるような部分なんだと思う。
だからこれは、口にして言ってかなければ多分分からないし伝わらない。無価値だと言い切れる人がそこにいれば、途端にコロンブスの卵は割れ卵になってしまう、そういうものだと感じます。
シャーロックホームズ/緋色の研究
まんがで読破シリーズで読みました。またミステリ、推理もの。ネタバレになるかもしれないですが犯人が騎士道精神をもっていて、犯行時もその思想上の駆け引きをするというのがちょっと変わったところだった。以前読んだものも加害者が人間じゃなかった、というのがあってそんなふうにオリジナリティの部分で飛躍するってところがミステリものの面白みなのかもしれないですね。
湯川教授の後で読んだのでもうちょっと推理を解く人に人間らしさがほしかったのである。
本を読むのって必ず一定期間作者縛りになってしまうと思います。わたしは早く東野圭吾の他の本を買いに行きたい。
考えると、自分の学生の頃は「名探偵コナン」「金田一少年の事件簿」「古畑任三郎」なとなど推理ものが流行っている時期でもあった。あの時はドラマになったりアニメが始まったり、コントでパロディされたりして「いかにもブーム」みたいな感覚がありたよね。金田一少年の事件簿は今もシリーズ出ていますね…
なんと、普通のサラリーマンになっていました。あと名探偵コナン、金田一ともに「犯人たちの」シリーズも出てますね。こちらは犯人に焦点を当てたパロディものだと思います。読んだことはないです。
わたしは未だに、金田一少年が明智警視から「そんな推理の真似事をやっていたって履歴書に書くものなんてひとつもないんだぞ」のようなことを言われたシーンをたまに思い出す。あの時、自分はこんな隙のない指摘があるものかということに驚いたし、あんな主人公の「ウグッ!」があるものかということに衝撃を受けたのだと思う。金田一も金田一で、わたしたちは金田一耕助を知らぬまま見ていたけどあれもなにかキャラが存在してる感がありましたね。なつかしい。
存在してる感があるとハマるしグッズとかも欲しくなる。→「愛でたくなる」んですよね…
電王とかめっちゃはまりました。(推理ものではないけど)
金田一少年の事件簿わたしは全巻集めていたクチですがなぜ若い頃漫画を定価で全巻買うみたいなこと平気でやっていたのか今はもう理解できない。
でも思えば、漫画喫茶もスマホもレンタル漫画もなかったもんな。
あとはレオナルドダヴィンチの手記(まんがで読破)とまえだなをこさんの「旅のらくが記ヨーロッパ ピカソ美術館めぐり」を読了。
まえだなをこさんのエッセイ始めて読んだのですが面白かった。けどピカソについてはそれほど描かれていなかったような…??生活のことや観光、人のことが多かったです。
おとぼけ具合が面白い。アンリミテッドでふたたび見つけたマレー半島のものを次にダウンロード。