春はパープルブルーだという子が居たので外に出てみる
外に出るとパープルブルーはなく澄んだ青空
さくらは桃色、水仙は黄色、菫はさえざえとする濃いむらさき色
これでは春じゃないと言い、それでも外を歩き回ることにした
そうしているうちにわたしたちも陽を浴びて春は香りだと知った
わたし達もそこで春の日差しを浴びているうち春は目になった
帰ってみればNHKの請求書、真新しいシャツ、誰もが踏んでいく草むらや手足信号から聞こえて来る声
さくらのももいろ、水仙のきいろ、すみれの中に
それはあった
わたしたちがはっきりとした春を知ったあと
パープルブルーはあった
その子は笑い,
ただそれぞれがその中にパープルブルーの色をまだしたためていると思った