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本のことを書いてあるブログ

絵画への興味〜名画で読み解くハプスブルク家の12の物語/中野京子

こんにちは。最近は大分暖かくなって、あっという間にあれ程積もっていた雪が溶けてしまいました。なので今日は靴箱の整理などして冬靴を棚の中に押し込んでたりしてました。

というわけで、最近買った本の紹介です。
まず、進撃の巨人をこの間25巻まで買ったんですが,またその続きを三冊ほどAmazonにて購入。

それから、今中野京子さんの「名画で読み解くハプスブルク家の12の物語」、低橋「旅のオチが見つからない」も購入。
unlimitedの方ではホリエモンの刑務所なう。ほかアンダーグラウンド系の本を読んだりしていました。(完読みはしてませんが)



ハプスブルク家の家訓ー「戦争は他の者にまかせておくがいい。幸いなるかなオーストリアよ、汝は結婚すべし!」


650年にわたり王朝として長命を保ったというハプスブルク家ですが、長きに渡り政治を担い多大な領土の統治を行ったヨーロッパ随一の名門一族でした。

デューラー、ベラスケス、(ティツィアーノグレコ)などなどこれまでunlimitedの方にて画集を見ていた画家の絵も出てきたので「おおっ」となっていました。

古代ラテン人の有力貴族であるユリウス一門(カエサル家)の末裔を自称し、中世の血縁制度を利用した政略結婚により広大な領土を獲得、南ドイツを代表する大貴族に成長した。
wiki

ハプスブルク家の人々は、自らを神に選ばれた特別な存在として高貴な青い血を誇り、その裏付けは、五つの宗教と十二の民族を何世紀もの長きにわたって束ね続け、神聖ローマ帝国皇帝の座をほぼ独占してきたという自信であった。(本文より引用)

そしてその高貴な血を残し領土を広げるために近親婚、政略婚などを繰り返しますが、その結果として次第に遺伝病などが現れてくるようになりその栄華は先細りして行きます。ギロチン台にひきすえられたマリーアントワネット、暗殺されたエリザベート皇后、世界史的ヒールとして有名なフェリペ二世、そうして血族結婚の繰り返しの果てに生まれたカルロス二世はスペイン・ハプスブルク家を消滅させてしまいます。マリーアントワネットの時代には悪政や戦争のし過ぎによる財政の逼迫,それから寒冷期による不作などで国民から上層部にまで不満が蔓延していました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E5%AE%B6

こちらの本はそのハプスブルク家について,宮廷画家が描いた肖像画などから「怖い絵」でお馴染みの中野京子さんが読み解いて行きます。やはりもっとも目をひくのはYouTubeや中野さんの他の著書などでも取り上げられているカルロス二世でした。ただ一族の高貴血を保つため度重なる近親婚を繰り返したために生まれたカルロス2世は「常時よだれを垂らしていた」「知能が低く精神も病んでいた」などと言われて居ます。ただこの時代は卑しい血をそこに入れずに高貴な血を保つことが重要視されていたそうですが、皮肉にも度重なる近親婚によって産まれたカルロス二世のその醜さは結婚した妻を鬱病に追い込むほどであったそうです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%AD%E3%82%B92%E4%B8%96_(%E3%82%B9%E3%83%9A%E3%82%A4%E3%83%B3%E7%8E%8B)

カルロス二世以外でも夫の死を受け入れられないために精神を病み,お供を引き連れたままであちこち夫の死体と共に行脚し、それから余生を幽閉されてすごした…という「狂女フアナ」の絵などなどこんなふうに,センセーショナルなものも多く書かれておりそれがわたしたちのような市民の目から見ると時代もそうであればまったく異世界の出来事のように、ファンタジーのように探りを入れてもっといろんなことを知りたくなってしまいます。読んでいて、面白い!と思ってしまうのは結局人の興味って人と人との軋轢,トラブル、不幸などそういったものと切り離せないからなんだなと思いました。マスコミが、無責任に色々探りを入れていくのも、「オレ達はまったくかんけ〜がネェ」がゆえの行いだったんだなって何か思いますね。失礼過ぎるものは見たり,話題にすること自体が加担なのかもなともおもいますが。
話ちょっと飛びますが,とくにSNSなどであるコラージュみたいな悪質なもの、イメージや印象に対して影響を与えるものははっきりと作る側が悪意を持ってやっていて、経験則で誰もが悪影響が分かってるはずなのでもっと取り締まって良いと思います。立件も簡単な気がするが…
できるのかな?
で、話は戻り、身分が高いその時代の女性なんていうのは、日本にある源氏物語の男性を待つ女性のようにきっと多くの我慢を強いられたんだろうなあとも思います。今のようにドラマもなければ多様性みたいな発想もなく,ガチガチに型にはめこまれる…きっと昔であれば拠り所もなく、吐け口もなく、ちょっとでも動けばすぐに人の話のタネにされて…などなど、苦しい思いも沢山あったのでしょう。そう考えてみると絵では人の欲求というか妄想を掻き立てるような書き方をされたりもしてるのですが、本人が話したり,小説で書かれれば違って見えてくるのかも?そんなふうに想像力もかき立てられますね。これを読んでいてずっと前に,遠藤周作のマリーアントワネットを読んだのを思い出しました。あの時わたしはいまよりハプスブルク家の歴史を知らないまま突如その物語だけを読んだ感じだったんですが、それがこの本を読んだおかげでパズルのピースのひとつみたいにはまって理解出来た感じがしました。仮面舞踏会のシーンも出てきていましたし,…もう一度読みたい!です。

それから、ここに宮廷画家として出てくる人はたくさんいるのですが,その芸術家達も一家の王様がわざわざ選出し、優遇していたそうでその審美眼のたまものとして今それが見られているというのもあります。ベラスケスの「ラス・メニーナス」という絵、多くの人が知っていると思いますが…わたしも何となくな気持ちでこれまでは見ていたんですが、ここに並んで入れられるとベラスケスってすごいんだなってことがわかります。単に人を書くという肖像画と少し違ってさまざまな暗喩のような物語性が込められているんですね。こういったものだと、王や王妃の美しさ,立派さを流布するだけの絵ではなく、世界観もろともで楽しんで見られるようなすこし異質の面白い絵だったんだなということが分かりました。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%83%8A%E3%82%B9
wikiにもちゃんと載っている

あまり関係ないですがジャン・レオン・レジームの書いたナポレオンってすごいカッコいいですよね。やっぱり美化はされてるのかもしれないですがこういうのは、民衆を盛り上げるのに大いに役に立ったであろう。

ジャンレオンジェローム《エジプトのナポレオン》キャンバスウォールアートクラシック絵画写真プリントモダンウォールデコレーション家の装飾80x105cm 31"x41"(フレームレス) https://www.amazon.co.jp/dp/B08Y5Q9HJD/ref=cm_sw_r_cp_api_i_1SXJX4A3HW9SPEBVNEE1

歴史もそうですが絵画史なども思わぬところでつながりがあったりなどしてこの作家がここから影響を受けている…それがわかるともっと面白くなりますね。ちょっと前にトルコのエッセイを読んでいて,「トルコのダンス(ベリーダンス)は西洋画家がその絵に描いたことで世界中ででブームになった」と書いてあってもしや、ジャン・レオンのこと…?っておもってました。

それから話はちょっととび…この巻末の方にマネによる「マクシミリアンの処刑」という絵があってふと、思い出したんですがわたしは先日「マネ,モネはあまりすきじゃない」みたいなことをこの間書いてたと思いだしていました。…が、今思えばあのときにその二人の絵を鑑賞した後に見たベルト・モリゾとメアリー・カサットの絵がすばらしすぎて、女性や「ひと」をいきいきとに捉えているのが好きだなと感じたのと、それからそのときにマネがモリゾにつらく当たっただとか、それでモリゾが画家としても女性としても苦しんでいたということを知ったために自分のなかの解釈がいつのまにやら改変し、遡って何かそれが傲慢な絵にしか見えなくなってたんだなーと改めて絵だけで見ていて思い出していました。
こう思い直すと自分の感じ方ってこんな脆かったんだなって思います。まあそれは、人物として真実もあるのかもしれないですが。そんなふうに影響してしまうみたいです。でもその辺を込み入ってもっと考えてみれば、マネがモリゾをわざわざ画家としてでなく女性としか書かなかったということも力量をそう見做していたのではなくある意味で、男の画家としてのプライドがさせるような嫌がらせ的な面もあったのかもしれないですよね。
全然知らないんですが。
モネの絵とかも普通に叙情的だし、綺麗ですしね。