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本のことを書いてあるブログ

銀河の死なない子供たちへ/施川ユウキ

銀河の死なない子供たちへ/施川ユウキ

 

永遠の命を持つ子どもと、そうでない人間一人のものがたり。

施川さんの漫画はバーナード嬢曰く。しか読んだことがないのですがキャラ同士のかけあいがほっこりする感じがあること、それからキャラの感情に共感してしまうことが多くてつい読んでしまいます。「皆が皆、ちょっとずつ恥ずかしがり」みたいな雰囲気。

ボケ→つっこみへ繋がるときも変に溜めたり恥ずかしがってる感じのリアクションがかわいい。

 

ストーリー

不死身の子ども二人は、ハイエナに食べられても、首を吊っても、何も食べなくても死なない。その死生観が書き表されてる部分は詩的で面白い。この舞台で地球上にいまいるのは、この子ども二人と、それから母親の女性。読み進めて行くと分かりますが、他の地球人はいない。子ども二人は永遠の命を生きていますが、見た目も内面も、子どもそのもの。繰り返し死に、生き返り、永遠に生きるせいで、生き物を飼うのは禁止。(悲しくなるから)けど結局は、他の生き物と関わることはやめられません。

 

そこへある日、宇宙船が墜落する。二人とは別の生命体である人間としてこの場に到来した女の子は、永遠の命に対して限りある人間の時間というものを思い起こさせる。女の子は自発的で、探究心が旺盛。元いる二人の子供と、限りある時間の中でさまざまな思い出を積み上げていきます。

独特なのは性にもきちんと触れられている部分。人間の女の子には初潮や誕生のリアルなシーンがあるのに、元からいる子どものような二人はそういった部分は描かれていません。そのせいか、生々しく、孤独を秘めたものであるかのように感じられます。二人と一人はいずれ死ぬこと、永遠に生きることをさまざまなシーンで感じながら、ともに生きていきます。ある時から人間の女の子は一人で病気になり、変化する体調を感じながら二人の母親であるまったく違う在り方の女性と対峙させられる。「リアルな生命を持つ」ことで一人だけ突き抜けていくかのようです。…物語の終わりは「そうなのかな??」とわたしは感じてしまったのですが、SFが好きな人は楽しめる漫画だと思います。